レバーレスコントローラーに手を出そうとしたが・・・
以前アーケードコントローラーのレバー部分を換装する記事を書いた。
その後、しばらくこのアケコンを使っていたのだが、格ゲーの有名プロ達のみならず、一般プレーヤー達もレバー部分がボタンになっている「レバーレス」コントローラーを使っているのを見て自分も練習してみたくなってしまった。
そこで購入を検討したのがトッププロであるウメハラ氏やカワノ氏が使っていて、おそらくレバーレスの中では最もポピュラーである「Hit Box」。
最初はやはりこの製品から始めるか・・・と思ったが値段を見てビックリ。
なんと約36,000円もするのだ。(以前は2万円台だったような気がする)
別に買えないわけではないがゲームのコントローラー、それもほぼ格ゲー専用のものに36,000円・・・
さすがにこれは買いたくないのでレバーレスは諦めざるをえないか、と思っていたところ一つの動画を見つけた。
それは格闘ゲーマーでYoutuberのささき氏の動画だ。
この動画内でささき氏は、Hit Boxよりかなり格安で手に入る謎のレバーレスコントローラーを実用できるレベルまで改造し、実際に使用している。
改造といってもガンダムのプラモデルを作るレベルの簡単な作業で、手先不器用人間の私でもできそうだったので動画を参考に自分もこのレバーレスを使ってみることにした。
今回は実際に動画内の改造を行ってみたので写真と共にお届けしたいと思う。
※最初に注意だがこちらの製品はPS4、PS5には対応していないのでPSユーザーは現状使用できない。(PS対応版もあるらしい)
※改造は自己責任でお願いします。
※2023年3月に公開された上優先入力の禁止など、カプコンプロツアーのレギュレーションに抵触する可能性があるのでストリートファイターの大会に出る人は注意(ファームウェアアップデートなどで対応できるかも)
※2023年5月追記:↑ファームウェアアップデートにより対応完了→「TruBoostレバーレスの上優先設定を上下同時入力ニュートラルにしてみた」
改造する格安レバーレス「TruBoost」レビュー
改造する格安レバーレスコントローラーは「TruBoost」というブランドのもの。
デザインがUSA、メイドインが中国となっている。どこの国製と言うべきか。
価格は約13,000円。Hit Boxより相当安い。
開封すると本体と接続するためのUSBケーブル。
動画内では本体がスケルトンカラーだが、Amazonの関連商品を見てみるとカラーバリエーションがいくつかあり、私はブラックを選んだ。
全てにおいてシンプルな作りで、裏側もシンプル。
この製品で特に驚いたのは縦18.8cm×横30cm×厚さ1.9cmというコンパクトなサイズだ。
本家Hit Boxはかなり大きいコントローラーだが、この製品はMacBookのケースに収まるくらいかなり小さい上に薄い。
小さいMONO消しゴムくらいの薄さ。
性能云々の前にこのコンパクトさはかなり気に入った。
レバーレスを使用しているプロゲーマーのときど氏も言っているように、レバーはどうしても左右の操作が激しく、安定させるためにそれなりのサイズと重量が必要になるが、ボタンを押すだけのレバーレスではそれほど必要ない。
しかしながら格安製品らしく性能はいまいち。
まずボタンキャップが外れやすく(開封した際もさっそく一つ外れていた)、ストロークが重くてゲームには向かない「黒軸」が採用されているため、このままだと格ゲー用としてはかなり苦しい出来になっている。
そこで上記動画内の改造が必要になるわけだ。
格安レバーレスを改造
改造①銀軸+キャップにOリング
ささき氏のレバーレス改造動画は2つあって、今回行う改造2つはいずれも上記2つ目の動画で紹介されているやり方になる。(1つ目の動画で紹介されている改造はスプリングが常時品薄のため)
まず最初に行った改造は軸をCherry MX製の銀軸に換装、そしてボタンキャップにOリングをかませるやり方だ。
銀軸はアクチュエーションポイント(スイッチのON・OFF切り替えポイント)が浅く、反応が速いのでゲーム用途に向いている軸だ。
なおこれから部品をいくつか自分でも紹介していくが、すべてささき氏の動画概要欄で紹介されているのでそちらも参考に。
この改造で使う部品はこちら。
このやり方は改造といっても軸を交換してキャップにOリングをはめるだけなので非常に簡単。
まずボタンキャップを外すが、上記の通りこの状態だと簡単にキャップが外れるので、素手でも輪ゴムかなにかを軽く巻きながら引っ張れば外せる。
そしてスイッチの軸を交換するのだが、こちらは素手ではちょっと難しいので、私は以前ロジクールのキーボード「G PRO X」を買った時についてきた専用の器具を使った。(ちなみに上記Oリングにも付属していた)
そして銀軸をはめる。向きがあるので端子の位置をしっかり合わせよう。
キャップの軸部分にOリングをかます。
そして再びキャップをはめるだけ。これだけだ。
操作感としては銀軸とOリングのおかげでストロークが浅くなり、反発も適度になってこれだけでもかなり変わった。
またOリングがゴム製のため、ボタンを押した時の音も小さくなっている。
実際満足できる人はこれで十分だろうし、実用レベルになったと言っても何も問題はないだろう。
なお更新したボタンは移動に使う左側のボタン4つと、攻撃に使う右側のボタン8つの計12個。
左上はスタートボタンなどに使う箇所で、競技性には関係ない部分なので交換していない。
かかった金額は、
- 銀軸10個セット×2 2,360円
- Oリング 980円
- 改造合計 3,340円
- レバーレス本体 12,999円
- 総合計 16,339円
個人的にはボタンを押すとまだ押し込みが深いように感じたのでさらなる改造を施すことにする。
改造②TTC軸+銀軸キメラ
続いて紹介するのはCherry MX製のキースイッチと互換性のある「TTC軸」と銀軸をキメラ改造するやり方。
動画内でささき氏も「これ最終形態じゃないか」みたいなことを言っているくらいクオリティが高くなる改造だ。
使用する部品はこちら。
これに上記の銀軸を使う。
上の部品類は動画の概要欄で紹介されているのでここでは詳細は書かない。
しかし動画内でささき氏はTTC軸をAliExpress(アリエクスプレス)で買ったと仰っているが、私が見たときはAmazonでも売っていた。
TTC軸とスプリングは中国からの輸送(たぶん)となるためか、到着までに数週間かかるので到着予定日に注意しよう。
この改造は上の改造に比べると比較的複雑だ。
まずはTTC軸と銀軸をそれぞれ分解する作業から始まる。
分解には小さなマイナスドライバーを使ったが、何を使うにしても怪我に注意した方がいいし、スプリングのせいで部品が弾け飛ぶ可能性があるので無くさないようにしよう。
銀軸も同じように分解。
それぞれ組み合わせるパーツはこちら。
TTC軸のスプリングと軸部分は不要、銀軸は使うパーツが軸部分だけ。スプリングは上記の、軸とは別に購入したスプリングを使う。
2つの軸を同時に分解するとわけが分からなくなるので、パーツの管理はしっかり行う。
分解したら次に銀軸にOリングを詰める。
順番は小×2→大1。
ドライバーなどでしっかり押し込む。
そして組み立て。
向きがあるのでしっかり確認する。上の画像に組み立ての際に合わせる向きを書いているので参考に。
向きを間違うと壊れる可能性があるので慎重に行う。
キメラ軸完成。
後は改造1と同じように軸をはめてキャップを被せれば換装完了。
なお1の改造でキャップにOリングがかまされたままの場合外しておく。(一応反応はしたのでつけたままでもいいがキャップが吹っ飛びやすくなる)
こちらは右側の指が改造①、左側の指が改造②のボタンを押し込んだ画像だが、ストロークがかなり違うのが分かるだろうか。
改造②の方がストロークが短くなっており、かなり扱いやすくなっている。
これで改造完了。
かかった金額は、
- 銀軸10個セット×2 2,360円
- TTC軸10個セット×2 3,976円
- スプリング 1,133円
- Oリング大20個入り1パック 564円
- Oリング小20個入り×2パック 1,076円
- 改造合計9,109円
- レバーレス本体12,999円
- 総合計22,108円
でやはりHit Boxより安上がりに。
しかも改造①もそうだが、これもゴム製のOリングを3つもかましているせいか、さらに静音化できたような気がする。
最初にアケコンのRAP隼静音のレバー交換記事のリンクを貼ったが、それより静かだと思うレベルだ。
格安レバーレス「TruBoost」総評と改造の結果
まとめ。
- レバーレス本体はかなりコンパクト
- 銀軸とOリングだけでも実用レベル
- さらにTTC軸と組み合わせるとコスパ◎◎◎レバーレスに
- ゴム製Oリング使用のため同時に静音化も
- PC用(PS対応版もあるらしい)
改造後しばらくストリートファイター5、ギルティギアストライヴといった作品をプレーしてみたが、ボタンの感触、反発、軽さ、静音性に関して言えば、有名メーカーと比較しても遜色ない出来になっているように個人的には感じる。
コンパクトなサイズもかなり気に入っているので、正直本家Hit Boxの価格が下がってきても自分はおそらくこちらのレバーレスを使い続けると思う。
レバーレスは気になっているけど価格が・・・と悩んでいる人はぜひ「TruBoost」レバーレスと改造を検討してみて欲しい。(改造は自己責任でお願いします)
なお、本体や部品はAmazonでは品切れしていることも少なくないが、AliExpressなら売っている可能性もあるので抵抗がない人はそちらを探してみてもいいかもしれない。
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